応用錯体化学研究室研究内容

 


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錯体の光化学

金属錯体は有機物に比べて着色しているものが多いことは周知の事実. 着色しているということは光のエネルギーを吸収して自らは高いエネルギー状態になるということ. こうしてできた高いエネルギー(励起状態)の錯体は高い反応性を有している. エネルギーの低い基底状態より酸化還元能力も高いものがあることもよく知られている. 最近では,次世代表材料として知られるELや,新しいタイプの太陽電池にも金属錯体が使われている. しかしその様な光化学反応が詳しく研究されている金属錯体はそれほど多くはない. というのは多くの金属錯体は光を吸収して励起状態になるものの,(とくに溶液中では)ごく短時間のうちに (10−12秒程度未満)基底状態に戻ってしまうものが多く, これではせっかくの反応性が高い状態を保つことができないからである.

本研究室では励起状態を長く保ち,光化学反応試剤として, また光物性材料として応用可能となりうる新しい金属錯体の研究を行っている. 光照射によって蛍光(とくにりん光)を出す錯体にも注目している. というのは光照射下でりん光を出す化合物は励起状態がある程度長い寿命を持つ (といっても10−6秒程度だが先の通常の錯体に比べれば100万倍も長いことになる) ことを示していることにもなるし,その発光をモニターすることで金属錯体の励起状態について 様々な情報を得ることが可能であるからである.

最近の研究例

[Pt(binap)2] [Pt(binap)2]     binapは,不斉合成を目的に野依教授らによって開発されたことは有名であるが, この配位子がついた白金やパラジウムの錯体は光化学の面でも大変興味深いことを見いだした. 溶液中でかなり強いりん光を発し,励起状態寿命は室温の溶液中で1.5μsである.光照射下 でこの錯体は有機塩化物と速やかに反応すること, この錯体が光照射下でのアルコールの酸化反応の触媒となることなどの興味深い反応も見つかっている.

最近 [Cu(binap)(dmp)] などの(dmp=2,9-ジメチルフェナントロリン)銅(I)錯体も溶液中で1μs以上の励起状態寿命を有することがわかり,興味を持って研究している.
 

左図は上と同じ[Pt(binap)2]を立体的に表した図.ただし,MDL社のCHIMEプラグインを インストールしたIEもしくはNetscapeブラウザでないと見られません.このプラグインはかなり面白いので, 化学に興味がある人はダウンロードする価値ありと思います. MDL Chimeからダウンロード可能です. (無料, Windows版とMac版あり)


 

新規の大環状錯体の合成と反応

生体内にはクロロフィルやポルフィリンなど環状の錯体で非常に重要な働きを持つものが多い.これらは鉄やマグネシウムなどなんの変哲もない金属元素がはいった錯体だが,特殊な構造の環の中に入ることで特別の性質を示す.これらのおかげで我々は生命を維持しているのである.新しい性質を持った環状錯体を作るべく研究している.

最近の研究例

左図は赤がパラジウム,緑が窒素,茶色が臭素を表す.

NCNを配位原子とする三座配位ユニットを2つ含む大環状配位子内に2つのパラジウムが入った有機2核パラジウム錯体である.ここに示した構造以外にU型と呼んでいる立体異性体があり,これらを用いる触媒反応を検討をはじめている.
 

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